バイバイ!

夕方、父の病院から連絡

呼吸が弱くなってきているので

いつでも面会にどうぞと

 

すぐ母に電話して

明日のお昼に一緒に行こうとなっていた

 

その日の夜10時過ぎ

再度病院から電話

出来るだけ早目にと

 

ついにきたな、と悟る

 

母に電話すると

すでに寝ていたらしく

20回以上コール

 

タクシーで二人で病院へ向かう

 

間に合うかな

 

救急出入り口で

名前や測った体温を記入しようにも

ソワソワ、フワフワして

ちゃんと書けない

 

ようやく病棟のナースステーションへ

 

本人の呼吸は止まっているらしい

耳は聞こえているはずだから

声をかけてあげてください、と

 

お父さん!

じいちゃん!

 

手をさすり反応を見るも

どうやら脳梗塞も起きたらしく

目は開かなかった

 

入院して

本人が薬も飲まず

起き上がることもしなくなったので

心臓も腎臓もどこもかしこも

ゆっくりと

機能を止め始めていたんだろう

 

看護師さんが来て

 

ゆっくりと心臓が止まっていきますので、と

 

私と母は

父に話しかけながら

その時を見守る

 

心電図みたいな画面の中の

真っ直ぐになる線を眺める

 

看護師さんが

担当医がもうすぐ参ります、と

 

触ってた手が冷たくなったから

あぁ、もういってしまったんだ

話をすることもできなかったけど

 

穏やかに

苦しまずに

静かに

 

バイバイ

 

 

やっと病気の痛みから

解放されたね

 

そしてきっと

父は自分でこの最期を望んでた

 

母を介護の苦しみから解き

 

もしかして、これは

少しだけでも

母への優しさがあったのでは

 

よく頑張ったわ、お父さん

 

 

 

 

さて、これから遺族には

いろいろと現実の試練が

始まるのだよ

泣いてるヒマないのだよ